5.仕上げ~記録・保存

2019年10月

修理工程1

●掛図の仕上げ 中綴じ・補強布貼り付け

従来はステープル金具で中綴じをしていましたが、錆の発生を防ぐために楮紙こうぞがみを細く裂いた紙片を寄り合わせてヒモ状にした紙縒こよりで中綴じを行い、綿布で上部の一辺を補強します。

●掛図の仕上げ 再使用する木製の固定材の取り付け

当初の形態を出来るだけ保つために、クリーニングした再使用する木製の固定材を、挟み鋲で固定します。最後に掛け金具と掛ヒモを取り付けます。

●掛図の仕上げ 新調した中軸の取り付け

従来の中軸、ヒモ等の小物は劣化して再使用が出来ないため、従来の形態を踏襲した中軸、ヒモ等を新たに作製して取り付けます。

●記録 記録写真撮影

高精細デジタルカメラによる記録写真撮影を専門業者に委託します。技術者立ち会いのもと、工房内で実施します。同時に、次回の修理に役立てるために修理報告書等も作成し、保存します。

●保存 中性紙製保存箱で保存

修理した資料の酸化を防止するために、それぞれの資料の大きさにあった中性紙製保存箱を作製して収納します。今回使用されなかった「紙片」「部材」等は、次回の修理の際の資料として保存します。

●保存 東書文庫書庫内

修理前は資料を巻いて保管していましたが、修理後は中性紙製保存箱に入れて保管するために数倍の保管スペースが必要となります。今後は保管スペースの確保が大きな課題となってきます。

(北澤清貴)